会社方針

激動の時代を勢いで突っ走る

創業者である松元芳見が生まれたのは第二次世界大戦前。戦中は軍事工場で勤務し、戦後は焼夷弾のケースを拾い集め、絞り機で鍋やフライパンを作り県へ収めていた。その後、神戸で米軍での自動車修理工を経て帰郷。鹿児島県頴娃町で松元モータースを開業する。創業間もない頃、近所の茶農家の友人が「お茶を効率的に刈り取る機械を作れないだろうか?」と持ちかけてきた。当時茶農家にとって、刈り取りシーズンは非常に頭の痛い時期でもあったという。というのも現金収入の少ない時代、茶摘みに動員する従業員への給与が大きな負担であったのだ。「もしも機械があれば、より少ない人数でスピーディーに収穫できるのだか」そして茶摘機の開発が始まるのである。

可搬式から乗用型へ

頭をフル回転させた松元は何とその年のうちに小型DCモーターを利用した「バッテリー式回転刃型茶摘採機」を開発し特許を取得する。他にも移動式の家畜の餌を砕く装置を開発したり、そのタイプにベルト駆動のオプションを付加し、用途に応じてカッター・ミキサー・精米ができるタイプも発売する。あまりの効率のよさになんと200台あまりが売れたのだ。もちろんその間も茶摘機の改良、テストを怠ることはなかった。更には昭和36年の鹿児島県から乗用型茶摘採機開発の話も舞い込んだ。茶摘採機の開発を始めて8年が経った昭和39年、機械の両端を2人が手に持って歩きながら刈る「松元式可搬型茶摘採機」が完成した。作業はこれまで手ばさみの10倍近くに向上し、多くの農家が採用した事で茶園面積は10年で2~3倍も上がったという。そして昭和43年には乗用型も完成し、徐々に販路が増え、そのタイプだけで481台の出荷という偉業を成し遂げたのだった。

開発は終わらない

その後、乗用型も様々な改良を重ね、業界で不動の地位を築くようになっていったが、常に農家の様々な声に耳を傾け、新たな開発に余念がなかった。開発したものをざっとあげても、大根結束機、生茶葉生産管理装置、薪割機、人参選別機、輸出用大型茶摘採機、たばこ収穫機、さとうきび収穫機など「かゆい所に手の届く」機械を開発し様々な特許を取得してきた。現在会社は約100名の従業員がいるが、創業当時と同じ白い作業服を着用している。それは創業者の志を継ぐもの達の誇りでもあるだろう。松元芳見は社会の様々な分野において功績をあげた者を表彰する「旭日双光章」も拝受した。松元機工ではさらに減農薬防除装置、無人化茶園管理機等の開発も進んでいる。今後もますます生産者が喜び、多様化するニーズに応え続けていくのが使命だと考える。

 





会社沿革

昭和31年 (1956年)
創業と同時に永山明氏(元全国茶生産団体連合会会長)依頼により動力茶摘採機開発に着手
バッテリー式回転刃型茶摘採機 開発/完成 (特許487380)
昭和37年 (1962年)
茶園トラクター1号機 完成(鹿児島県茶業試験場共同開発)
昭和39年 (1964年)
茶園トラクター2号機 完成(鹿児島県茶業試験場共同開発)
可搬型茶摘採機 開発/完成/発表(特許484141)
昭和42年 (1967年)
第13回発明意匠展受賞(可搬型茶摘採機)
(社)発明協会会長優秀賞受賞(九州地方発明表彰 茶葉刈機の開発)
昭和43年 (1968年)
乗用型茶園中刈機 開発/完成
鹿児島県知事賞特賞受賞(茶園中刈機 第14回鹿児島県発明意匠展受賞)
昭和44年 (1969年)
乗用型茶摘採機/防除機 開発/完成
鹿児島県茶業振興連絡協議会会長功労賞受賞(可搬型茶摘採機開発実用化)
昭和46年 (1971年)
(社)発明協会鹿児島県支部長賞受賞(第17回鹿児島県発明意匠展 乗用型茶摘採機)
昭和48年 (1973年)
MBC賞受賞(茶摘み作業の機械化及び茶摘採機の動力化の研究・実用化)
昭和52年 (1977年)
半自走型茶摘採機 開発/完成
大根結束機 開発/完成
昭和53年 (1978年)
生葉管理装置 開発/完成(実用新案第1514501)
昭和54年 (1979年)
鹿児島県知事賞特賞受賞(大根結束機 第26回鹿児島県発明意匠展)
昭和55年 (1980年)
鹿児島県知事感謝状受賞(乗用型茶摘採機開発実用化)
昭和56年 (1981年)
輸出用大型茶摘採機(MCT-E1)開発/完成
昭和58年 (1983年)
一条型茶摘採機 開発/完成(MCT10)
本社工場移転
昭和61年 (1986年)
鹿児島県知事感謝状受賞(茶業振興に寄与)
平成3年 (1991年)
県民表彰受賞(産業経済部門)
平成4年 (1992年)
たばこ収穫機 開発/完成(日本たばこ産業と共同開発)
深耕機 開発/完成  
(社)日本茶業中央会表彰受賞(茶業功労賞)
平成6年 (1994年)
さとうきび収穫機ケーンハーベスター 開発/完成
平成8年 (1996年)
南日本文化賞受賞(産業経済部門)
平成10年 (1998年)
乗用型茶摘採機コンテナ式(MCT12) 開発/完成
平成12年 (2000年)
発明協会鹿児島県支部長賞受賞(油圧式走行機械の自動操舵走行装置)
平成14年 (2002年)
知財功労賞受賞(特許庁長官表彰)
平成16年 (2004年)
文部科学大臣賞受賞(自動走行式茶摘採機の開発)
平成18年 (2006年)
風送式茶摘採機(MCT12-FS)開発/完成
新型中刈機(バリカン刃式) 開発/完成
平成19年 (2007年)
乗用型野菜収穫機(MCV8)開発/完成
経済産業大臣賞受賞
平成20年 (2008年)
乗用型枝豆収穫機(MCBH11)開発/完成
平成22年 (2010年)
旭日双光章拝受
日本茶業技術協会 茶業功労賞受賞
平成23年 (2011年)
サイクロン式吸引洗浄装置(MCB-KIAD)開発/完成
平成25年 (2013年)
輸出用大型茶摘採機(MCT-E5-FS)開発/完成
農林水産大臣賞受賞(茶園等の各種乗用型管理作業機の開発)
平成28年(2016年)
乗用型摘採機(MCT20)開発/完成
平成31年(2019年)
乗用型ロボット摘採機(MCRT12VF)開発/完成
乗用型ロボット管理機(MCRP10VF)開発/完成